新幹線内の様々な人間模様 (2010年08月号)

 

隣の席に座る人は

 新幹線で西下する場合はD席。天気がよい日は富士山が見える。山陽新幹線はグリーン車が3輛あるので、滅多に満席にならない。そこで「今のところ、隣が空いているD席」と所望する。

 東北新幹線だと、こうはいかない。高齢のツアー客でいつも混んでいる。隣の席を空けて、優雅に、などと望むべきもない。

 6月8日の仙台行き、東京からの60代男性、いきなりショート・ブーツを脱ぎ、おまけに分厚い綿の靴下も脱いで、プーンと臭う素足を私の目の前に突き出した。臭うその素足から逃げようと、仙台までずっと窓の方を向いていた。

 翌日の東京行グリーン車、隣の男性は、びしっと決めたスーツにピカピカに磨いた素晴らしい靴。キャリア・バッグを「上げましょうか」と、声をかけてくださった。その後、おもむろに出したのが革のブックカバー、本を読み始めたのです。身なりもマナーも素晴らしい。前日の人とは大違い。これを「天国と地獄」とでも言うのでしょう。大学の先生かな、でも大学の先生はこんないいスーツは着てないかな、と考えつつ、東京駅直前の、いまだったら話しかけてもいいというチャンスに「失礼ですが、どういうお仕事でしょうか?」と尋ねると、建築会社、とちょっと想像外の答え。

思いがけない出会いが

 東京駅に到着したとき、前の席のご婦人がその方にご挨拶した。そのとき、そのご婦人が私を見て、「あっ、先日はお世話になりました。大島理森の家内でございます」と挨拶された。大島さん、怖い顔してるなんて言われたようですが、こんな素敵な奥さまのご主人ですからきっと魅力的な方なのだ。とホームページに書いたところ、若い女性から「大島さん、ご自分で恐いとかテレビで言われてますが、私は風格のあるお姿と渋いお声が大好きです。今度先生がお会いになったら、先生のファンの中に大島さんのファンも居ることを是非お伝えください」とメールが。

 新幹線内の人間模様、楽しんでいれば、移動も苦にならない。

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