もっと公共放送のあり方を考えよう (2009年08月号)

 

 6月11日、「公共放送のあり方について考える議員の会」設立総会に招かれた。初めて足を踏み入れた衆議院は古色蒼然とした重厚な建物。三階の国会対策委員室はかなり広く、約60名の議員、代理出席の秘書など計百名近くを裕に収容できた。30分ほど発言した後、質疑応答その他含めて2時間近く、マイクなし、飲物なし。政治家の日々は極めて多忙で実に質実剛健なのだと確認した。

 4月5日に放送されたNHKスペシャル「シリーズJAPANデビュー第1回"アジアの一等国"」に有権者から多くの批判が集まったことを受けて、古屋圭司発起人代表がその設立趣旨を述べた。台湾での世論調査の結果「好きな国はトップ38%で日本、2位が5%の米国。今後付き合いたい国も、トップ31%で日本、2位が米国で20%。それだけ台湾で日本が好感をもたれている」と紹介し、NHKの番組はその関係を壊そうとしていると指摘した。

 私は開口一番、「番組の冒頭で『未来を見通す鍵は歴史の中にある』とうたわれているが、この番組が再現する『歴史』が事実であれば、日本の未来は真暗になる」と述べた。続けての話しは、当日参加された、赤池まさあき議員(山梨一区)のブログ(6月11日)にぜひ一度アクセスを。

 2000年から2008年の二代の駐日台湾代表(国交があれば大使に当たる)の努力もあり、現在の日台関係は断交以来最も良好な状態にある。古屋圭司発起人代表の紹介の数字を始め、数々の世論調査がそれを客観的に裏付けているが、何よりも台湾を訪れた日本人はほとんど例外なく、台湾人の親日的な対応に感動したり、自虐史観を刷り込まれた者はその親日の情にとまどったりしている。訪日する台湾人も人口数からみれば多分世界一高いパーセンテージであろう。こんな客観的な情勢を無視した、NHKの番組の作り方にはただ呆れるばかりである。視聴者の批判や抗議に対しても、木で鼻をくくったような対応。公共放送とは「公安及び善良な風俗を害しないこと」「政治的に公平であること」「報道は事実をまげないですること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」「自社の放送番組基準に従って編集」と放送法第3条で定められている。有権者の意向を受けて議員が「考える」のは時宜に叶った活動であるが、これだけの話題を、新聞をはじめ、主流のメディアは一切報道しなかった。

 6月14日朝、名古屋港から出港した「とうかい号」に乗船して台湾北端の基隆目指して3日間の旅にでた。日本青年会議所東海地区協議会主催の青年の船は今年36回を迎え、日台交流をメーンテーマに8日間の研修事業である。私は往路だけ講師として参加し、基隆で、前日退院されたばかりの李登輝元総統をお迎えし、挨拶を済ませて、午後の便で日本にトンボ帰りした。船旅は好きではない。4、5日も縛られるのは不本意でもあるが、日台交流と言われると断る訳にはいかない。趣旨が趣旨なのだ。

 「将来を担う青年たちが、今後地域社会においてそれぞれの立場でそれぞれの役割と責任を果たしていくために、洋上という非日常の空間と限られた時間、自ずと芽生えてくる乗船者同士の絆、『とうかい号』ならではのプログラム、多彩な文化や人々との国際交流により、自己の人間形成と真の日本青年としての自覚を身に付ける場。第36船においては、船内研修、国際交流活動に加え、道徳倫理感や日本の精神の再興を目指した研修にも力を入れ、渡航先を台湾にしたいと考えた。親日派の多い国として知られる台湾での現地青年との国際交流活動、また李登輝氏によるご講演を通じ、忘れかけた日本の精神及び世界から期待されるこれからの日本青年としての自覚を再興したいと考える。候補地台湾においては、過去35回の内8回の渡航実績があり、この度は9回目の訪問となる。」

 地道で建設的な民間の日台交流をメディアは言及しない。こういう活動こそ報道すべきである。

 NHKの偏向ぶりについては月刊誌「正論」「WiLL」が各々8月号で特集を組み、安倍晋三元首相が「WiLL」に「NHK台湾番組は放送法違反か」の一文を寄せている。

 6月26日、産経新聞の一面に「NHKを8,400人集団提訴 ―責務見失う公共放送―」の記事。今後、公共放送のあり方を考える国会議員、有権者の輪が益々広がることであろう。

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