靖国は英霊を祀る「サンクチュアリー」 (2008年10月号)

 

 8月15日、63回目の終戦記念日、靖国神社の参拝者は約15万2000人で、一昨年は25万8000人、昨年16万5000人を更に下回った。一昨年の盛況は小泉元首相の参拝という話題性、今年は北京五輪の陰にかくれた静けさと、対照的なメディアの扱いはあるにしても、国民の靖国に対する関心がこの程度であるのは残念だ。

 「靖国神社問題は現在、『冬の時代』にある。一気に『氷河期』に突入することも予想される。靖国の無視、ご英霊の否定にも発展しかねない事態だ」

 神社境内で開催された戦没者追悼中央国民集会で、「英霊にこたえる会」の堀江正夫会長はこう指摘し、靖国不参拝を明言した福田首相を担ぎ、総裁に選んだ自民党に苦言を述べた。(8月16日付・産経新聞)

 平成16年夏、鹿児島市民文化大学で講演した際に知覧特攻平和会館を訪ねる機会に恵まれた。台風襲来の情報で一日早く鹿児島入りしたが、当日は温帯低気圧に変わり、念願の知覧行が実現した。

 小泉元首相のとぎれない靖国参拝はこの地に立ったことが大きく影響しているが、豊かな感性の持主なら誰しもが「国を思い、父母を思い」散っていった若者たちの遺言に心をしめつけられるであろう。

 翌17年8月15日、靖国は過去最高の20万5000人の参拝者で賑わった。参道特設テントでは「終戦60年国民の集い」が午前10時半から午後4時まで開催され、石原慎太郎都知事をはじめ、多くの登檀者が各々の思いを語った。以下は筆者の発言の一部である。

 「8月15日が近づくと、靖国神社に総理は行くのか行かないのか、閣僚は行くのか行かないのか、そういう話がメディアを賑わします。そして、行く人も行かない人も、何がしかの理屈、言い訳、弁解をし続けます。全くナンセンスです。靖国に参るのは、お国のために尊い命を捧げた方々に敬意を表し、心からの感謝を捧げるためです。それだけで結構なのです。余計な理屈は要りません。しかしいざお国のために命を捧げた方々を祀っているこの靖国の話になると、百の理屈が出てきます。それはおかしいと思う。そういう日本人は。全く恩知らずです。」

 「とやかく干渉する外国人には「Not your business.(あんたたちの知ったころか)」と言ってやればいいのです。世界の平和は、世界のビジネスです。だけれども、靖国に参拝するのかどうかは、偏に日本人の問題です。ですから靖国に文句を言う日本人は恩知らず、干渉する外国人は無礼千万、そう言ってやればいいのです。」

 「本日の集いでは金美齢氏の発言が印象に残りました。日本人以上に日本の心を持った方で感服しました。外国人のヤジにも屈することなく堂々とした態度で制され、なぜこれを日本の総理が出来ないのかと情けなく思いつつも、とてもスッキリしました。一歳の子連れで道中がちょっと大変でしたが本当に行って良かったです。」聴衆の一人(埼玉県、30歳、会社員、女性)がアンケートに寄せた「外国人のヤジ」とは、「ヤスクニはワールド・ビジネス」とアメリカ人らしき青年の言葉にとっさに「世界の平和はワールド・ビジネスだが、ヤスクニは日本の問題」と英語で切り返したことを言っているのだが、このシーンは今でもユーチューブで見られる。

 靖国は英霊を祀る「サンクチュアリー」(聖域)であり、何人たりともそれを侵すことは許されない。その無礼な外国人に続けて「Get out of Yasukuni! Get out of Japan!」と怒鳴った次第である。

 知覧を訪れた日「鹿屋にも行きたい」と言ったら「1日ではとても、無理です」との事だった。その願いが叶ったのは本年1月30日、鹿屋講演会主催者の案内に依る。

 知覧は陸軍、鹿屋は海軍の基地であった。鹿屋は現在も海上自衛隊の基地があり、鹿屋航空基地資料館が隣接している。正面玄関には平山郁夫画伯の桜島の絵が、大きなステンドグラスになり目を引く。展示品を説明して下さった方が黄ばんだ布を指して、「これが何か分かりますか」と訊くので「マフラーでしょう」と答えたら「よくご存じで」とびっくりされた。終戦時11歳だった台湾の女の子は、特攻隊員の首にたなびいていた白いシルクのスカーフを「素敵だ」と感じていたのである。

 靖国をサンクチュアリーとする台湾人は多くいる。李登輝元総統もその一人である。

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