高齢でも幸せな長寿社会 (2010年06月号) |
長寿のおばあ様の健啖(けんたん)ぶり
先日、若い友人のおばあ様がめでたく百歳を迎えました。親戚一同金沢に集まってお祝いをしたそうです。おばあ様は金沢のケアハウスで「食べるだけの生活、早くお迎えがきてほしい」と言い続けていましたが、百歳の誕生日に、どれだけ長寿できるか試してみたいと言い出しました。中華料理屋での祝宴では孫たちと同じだけの料理を食べたそうです。入れ歯ながら固いものも食べ、こぼしもせずに皆と同じだけ食べたのです。
普段の食事は健康第一で、我慢を強いられているのでしょう。孫娘がビックリするくらいの健啖ぶりを発揮したそうです。
高齢化社会の日本
『「老後難民」大量の予備軍』(四月二十二日「フジサンケイビジネスアイ」)の記事によると、年金生活に不安だが老後にそなえての準備資金はゼロが四割を超え、一方、公的年金だけでは生活できないとの回答が八割以上となっています。
年金問題の根底にある一つは日本が長寿社会になったことでしょう。女性の平均寿命は世界一なのです。
めでたく百歳を迎えたこのご婦人は、二十八歳で戦争未亡人になり、女手一つで、五歳と一歳の男の子二人を育てました。定年後は、遺族年金、国民年金、企業年金を受け、今やケアハウスで悠々自適の生活を送っています。孝行な孫娘は、年に一、二回東京から金沢まで祖母に会いに行き、その都度お小遣いを貰っています。四十代後半の自立して働いている孫娘は老齢の祖母からお金を貰うことに内心忸怩(じくじ)たるものがありますが、「それが楽しみなんだから、よろこんで貰いなさい」と私はアドバイスしています。
日本の高齢化は誰も止められません。長寿社会になってゆくこと自体は幸せなことです。とはいっても、少子高齢化社会は、年金制度にとっては二重のパンチであり、二重のピンチです。
一昨年上梓した弊著『老後は人生の総決算です!』は、まさに幸せな老後に向かっての生活設計と自己管理の勧めなのです。