大分での講演で (2012年11月09日)

 

 7日は大分市、大分合同新聞主催のおおいた女性倶楽部「萌」という、面白い名称の会員制クラブでの講演でした。前日6日に雨の東京を出発して、晴れた大分空港に到着、ところがここから大分市内まで車で1時間、市内近くあった空港は滑走路が短くて事故が起きたりしたので、この新空港を造ったとのことですが、えらく遠いんです。広島も空港が遠くて、広島って聞くと一瞬、えっ!、って言ってしまったりするんですが、大分はもっと遠い。高速道路で市内に向かう途中、「杵築市内」という看板が見える、以前来たなぁ、と思っているとやがて別府、それからやっと大分となります。空港が遠くなって、利用客は減っているようで、近くでも問題、遠くでも問題、ということのようです。

 大分といえばやはり関アジとか関サバでしょう。ホテルの和食レストランに行くと、ない!、終わりました!、って言われて、まだ6時かそこいらなのに、期待していただけに怒りがこみ上げ、プンプン怒って受付に行き、支配人呼べ、と。遠方から来て宿泊する客であれば、地元のものを食べたいわけで、それがどこにでもある極々普通のものしか出さないんだったら来た意味がない、いったい何考えてるんですか、と言うと、支配人が恐れ入って、お店を紹介してくれて、タクシーまで手配してくれました。運転手さんに、お店までご案内するように、と固く固く言いつけて、結局タクシー代も取りません。怒っただけの甲斐があったということでしょうか。

 ホテルがこんな経営してたらダメでしょう、と言いたくなるような和食レストラン、6時前、もちろんお客さんは誰もいない、カウンターを希望したら、満席ですって、本当なの、と思いつつテーブルへ、だれもいないホールで、寿司ネタってなにがありますか、と尋ねると、本当に平凡そのもののネタしかない、怒るのも無理ないでしょう。それに比べて案内された第二海源丸とかいうお店は良かった。もちろん関アジも関サバもある。案内されたカウンター席は端から2番目、1番目が空いている、余裕を持って座らせるのかな、と思っていたら後から現れた中年男性がそこに座りました。

 その方の注文の仕方を見ていると、これは常連、でも、どう見ても地元の人じゃない。興味津々、好奇心と野次馬根性がムラムラと。何とか鯛の活造りを、一人じゃ多いかなぁ、とか、大きいかなぁ、とか言いながら注文しました。こっちは、どんな鯛なのか見たくて見たくてしょうがないのに、調理師はパッと捕ったら見せもしないでそのまままな板に載せて調理、背伸びして一生懸命見ようとするのですがよく見えません。後で、水槽の中を指差して、あれです、って教えてもらいましたが、台湾で言う「セキハン」っていう魚じゃないかな、ちょっとグレーの上に黒の縞模様がついています。

 活造りを一人食べてるお隣さんにどうしても訊きたくて、地元の方ですか、って声をかけました。違う!、って、やっぱり。東京からの出張で、来るたびにこの店で食べるのでもうすっかり顔なじみだそうです。話してみると実に食いしん坊、すっかり意気投合して、会話が弾んで、息子と同じぐらいの年齢かなと思っていたら50歳でした。白髪の婆さんのおかげで、警戒もされずに声をかけられるっていうのはいいですね。若い女性だったらこうはいきません。

 偶然ですが、何と台湾に4年もいたとのこと、さらには、わたくしが理事長を務めているJET日本語学校を知ってるって。わが校の近くに巣鴨信用金庫がありますが、その2階のオフィスに勤めていた、自分の会社かなんだかは知りませんが、とのこと、JETの会議室を借りたこともあるそうです。"It's a Small World."と言いますが、まさにその通りです。

 関アジ、関サバをゆっくり食べて、国東半島産という太刀魚を見つけて、これ絶対食べたい、と塩焼きにしてもらい、ここは洋食も美味しいと隣の男性から聞いて、カニコロッケを注文し、よく食べますね、とか言われながら、最後には土瓶蒸しも頼んで、松茸入れてもいいですか、と訊かれて、どこ産ですか、と確かめると、中国産だったので、要らない、と断ると、カナダ産でした、というのでお願いしたり、実に素晴らしい夕食でした。

 ホテル到着後は最悪の機嫌でしたが、楽しい会話と美味しい夕食で機嫌も直って、その上、戻ったホテルでお願いしたマッサージの方が実に上手でした。背の高い体格のいい方で、これちょっと力任せにやられたら困っちゃうなぁ、と思ったのですが、結果、とてもよかったのです。そんないい夜となりました。

 翌日7日、午後からの講演なので、午前中をホテルでゆっくりしてから出かけました。会場は2,000人も入るという大きなホール、会員対象なので、さすがに2階、3階は空席でしたが、1,100人もの方にお集まりいただきました。全員女性、「不条理な世の中でどう主体的に生きるか」というタイトルでお話をしています。講演後空港へ、午後5時過ぎに到着、でも次の便は7時15分、2時間以上の待ちでした。市内から遠いということだけでなく、便数も少ないのです。家に着いたのは10時近く、でも、仕事もしっかりやって、美味しいものもしっかり食べた、いい出張でした。

 講演前会場控室で、古い友人と久々に再会しています。別府からわざわざ訪ねてきてくれた、ソロプチミスト別府の会員で、だいぶ前ですが、その方が代表だったときに講演に呼ばれました。それ以降声がかからなかった大分、「たかじんのそこまで言って委員会」が数年前から放映されるようになって、また声がかかるようになりました。この番組が放映されているところからは声がかかるが、放映されていないところからはそうでもない、それははっきりしています。放映されている地域では結構人寄せパンダになるのです。テレビの力っていうのはやはりすごい、しかもこの人気番組、女性フアンが結構多く、それも強みとなります。

 ところで、今回の大分講演での壇上のお花、デザイナーの方が特別にわたくしをイメージして飾ってくださったそうです。素晴らしい秋の花々を横に広げた、普通とは違ったアレンジで、これがわたくしの服装とぴったり、打合せも何もしていないのに。講演もこの話題から始めました。女性会員であれば、わたくしの服装には興味あるのでしょう。どんな服装で現れるのか、期待感もあり、それがデザイナーの表現したわたくしのイメージと一致していたということで、期待通りだったのかもしれません。ご婦人方には、そういう視覚的な楽しみもあるのです。幸先の良い講演スタートとなりました。

ページトップへ