「海保「みずき」と接触＝領海侵入の台湾巡視船―尖閣沖」とのニュースが流れ、台湾は親日国だと思っていたのに、というメールを３通ほどいただきました。これは、中国との統一を考えている国民党の馬英九が台湾総統である以上、起きても何の不思議もありません。わたくしが何十年もの間、何回も述べているように、台湾には台湾人と中国人が混在しています。つまり考え方や行動が台湾人か中国人に分かれるのです。そして中国人のアイデンティティを持った人は、中華思想を持ち、中国との統一を考え、尖閣は自分たちの領土だと主張しています。そういう人たちが今回のような行動を推進しているのは間違いないことです。

　でも台湾の大多数の人は台湾人のアイデンティティをもち親日家です。それは東日本大震災に対する２００億円を超える義援金からもよく分かります。そんな台湾に無関心だった日本、それどころか、尖閣は日本の領土だと主張する李登輝さんの日本へのビザの発行を長い間阻止したりして、結果的に国民党に加担している。馬英九が総統になったときから、台湾は中国に飲み込まれ、対中国の最前線は日本になる、とずっと言ってきましたが、今回の件はその一端が目に見える形で現れたということでしょう。

　どうかもっと台湾のことを知ってほしい、関心を持ってほしい。わたくしのコラムをお読みになる方ですら、何回も説明してきた台湾の現状を理解していただけずに、台湾は親日国だと思っていたのに、という短絡的な反応をするのは、残念としか言いようがありません。