櫻井よしこさんと連れ立って (2012年06月16日)

 

 14日木曜日は中国地方の税理士会での講演です。会場は岡山のホテル・グランヴィア、岡山駅に隣接しているので新幹線が便利なのですが、東京からだと3時間以上かかって大変、飛行機だと1時間半ほどで楽なのですが、空港からが大変、などと考えながら結局飛行機で、講演時間が12時半からのため、前日の夕刻に岡山入りました。瀬戸内海の美味しいお魚が食べたい、とタクシーの運転手さんに訊くと、「はまゆう」というお店がいいとのこと、ホテルで場所を尋ねると親切に電話してくれました。ところがここが満員、8時以降でないと席が取れない、7時には食事をしたかったので、しかたなくホテルが教えてくれた次の選択肢の店に行きました。

 「うまづらや」というお店、これがさして良い店ではなかったのです。典型的な居酒屋風のお店でしたが、調理人が素人っぽい人ばかり、たくさんいるのですが、料理長以外は若い人ばかり、若いのが良くないということではないのですが。いまの旬はさわら、とのことだったのですが、それはありませんでした。一番旬の魚がない、まあ、うまずらっていうお魚がメインの店なんでしょう。せっかくの瀬戸内海なのでアナゴを頼みました。でも、出てきたのは焼きすぎでカチカチ、料理長に、こういうものは焼きすぎないように焼く人に注意してください、と言ったところ、うんでもなければ、すんでもなく、何も答えない、これにはびっくりです。出てきたポン酢は漏れてる、カウンターにポン酢が流れているので拭いてもらったのですが、しばらくするとまた流れている、明らかに器にヒビが入ってる、そういう店でした。でも、サバの活け締めたたきが美味しかったので、まあ60点といったところでしょうか。きっと、第一選択肢の、満員になる「はまゆう」のほうが良かったのでしょう。1階が魚屋さんで、2階がお店という、わたくし好みの予感、残念です。

 翌日の講演会は盛況で、12時半からという昼時にもかかわらず真剣に聴いていただきました。中国地方の税理士の方々がたくさん集まって、いろいろな催しごとがあり、前夜祭もあったそうです。昨年の倉吉ロータリークラブでの講演を聴いたという方から、倉吉の団子をお土産にいただきました。倉吉からわざわざ持ってきていただいたのです。ありがたいことです。来週は大阪と四国で講演します。四国はやはり税理士会、真面目できっちり仕事をされるプロフェショナルの方からのお招きが多く、とても嬉しく思います。まともに生きている方がわたくしの話を聴いて下さる、そうでない人はこんないじわる婆さんの話など聞きたくはない、おそらくそういうことなのでしょう。

 前回の本コラム、食べ物の話に気を取られて肝心の話をし忘れました。9日、周南青年会議所の講演が終わり、欲と得でたくさんのお土産を持っての帰り、山口宇部空港で搭乗待ちをしていると突然声をかけられました。「金美齢さんじゃございませんか」、その優しい声は櫻井よしこさん、偶然の出会いでした。会おうとしてもなかなか会えない、日台交流サロンでのお花見の会にお誘いしても、締切なのよ、と例の柔らかな声での答えが返ってくる、毎年そんな感じで、とにかくお忙しい方、このようなところで、いやー、素晴らしいめぐり合わせです。

 同じ飛行機で羽田に到着しました。たくさんの荷物だったので全て預けており、荷物が出てくるのを待たなくてはいけないので、お先にどうぞ、と言うと、いいのよ、と付き合ってくださいました。しかも、回転台に出てきた荷物をカートに乗せてくれて、私の方が力があるから、と。天下の櫻井よしこさんにですよ。年長者として、その好意に甘えさせていただきました。2008年の台湾総統選挙で惨敗した翌日、傷心のままで東京に引き上げるとき、台北の空港でたくさんの荷物をカートに入れて運んでくれたのが、天下の藤原正彦さんでした。台湾総統選挙の現場を見たいと、藤原さんがご夫妻で訪台、往きも帰りも同じ日だったのです。そんなことを思い出しました。

 羽田からタクシー、櫻井さんをお送りしてからわたくしの自宅へ、それが順路でした。そういえば、以前、会合でお会いしたときも、日本のジェントルマンは女性を送るという習慣がないようで、二人でタクシーに乗り込んだのですが、そのときも櫻井さんが先でした。羽田からの車中で、何年かぶりでゆっくりと話ができました。何年も前に、正論大賞のパーティで二人が話をしていたら、産経新聞一面の看板コラム「産経抄」の当時の筆者である石井英夫さんが、いま日本で一番怖い女性が二人そこにいる、怖い、怖い、と言ってましたが、この日はどうだったんでしょうか。二人が連れ立っていて、やはり敬遠されていたのでしょうか。とにかく、素晴らしい偶然の出会いでした。

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