弱者の脅迫 (2012年04月14日)

 

 2週間以上前に発行した美齢塾メルマガの1つの記事とそれに対する塾生のメール1通をここで紹介いたします。

━━ 美齢塾メルマガ 2012.3.28 ━━━━━━━━━━━
■ 【弱者の脅迫】
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 北朝鮮が4月中旬に「人工衛星」を打ち上げると予告しています。気象衛星という建前ですが、ロケットとミサイルと同じ原理なので、国際社会はこれが弾道ミサイル実験の偽装であると見ています。北朝鮮は昨年末に指導者が交代しました。「ミサイル実験」は新指導者の金正恩氏の指導力を誇示し、国際社会との駆け引きを有利にしようとするためのものでしょう。こういう形の外交を恫喝外交と呼びます。しかし、北朝鮮というのは、米国はじめ国際社会に対して恫喝できるほどの国力があるのでしょうか。ありません。これは弱者の恫喝、弱者の脅迫というべきものです。そして、弱者の脅迫ほど、やっかいなものはないのです。
 弱者の脅迫とは、何も失うものがないほど、弱い立場の者が、捨て身で脅しにかかってくることです。失うものがない、ということは、他の条件で交渉ができない、つまり相手にすれば、相手の言うことを聞くしかない、ということです。
 たとえば、社会的信用も地位も何もない女性が「結婚してくれなきゃ死んでやる」と言うのも、ある意味弱者の脅迫です。そういうみっともない真似をしても、他に失うものがない。こういういい方はフェアではありません。そもそも、死ぬといって脅迫しての結婚で、幸せになるのでしょうか。
 以前、テレビ番組「たかじんのそこまで言って委員会」で、混合医療を肯定する発言をしたところ、何をどう聞き間違えたのかわかりませんが、国民皆保険の否定ととらえられて「私に死ねというのか」「金美齢が死ねと言ったので、私は死にます」といった批判のメールを寄せてくる人もいました。
 反対意見があるにしても、自分が弱者であるという論法で、他に失うものがないので、命を駆け引きに使って、相手を論破しよう、相手に前言を撤回させようとするのは卑怯なやり方です。北朝鮮の恫喝外交というのは、まさしく、こういう卑怯な脅迫に一脈通じるものがあります。国際社会が言うことを聞いてくれないなら、暴発するしかないぞ、と言っているわけですから。

 私は以前から、北朝鮮との間に、話し合いで解決できるものは何もない、と主張してきました。日本にとって、北朝鮮との話し合いの最大テーマの一つが拉致問題であることは言うまでもありませんが、六カ国協議では、他国も拉致問題を持ち出すことに批判的です。六カ国協議に日本が参加しても、何も解決できないのですから、日本はさっさと脱退すればよかったのです。もっとも私が「六カ国協議など無駄」と言い放ったときは、誰も賛同してくれませんでした。結果からみると六カ国協議は、北朝鮮に「弱者の脅迫」を行う場を与えただけでした。
 弱者の脅迫ほど、愚かな行為はありません。そこで、相手の譲歩を引き出したとしても、結局は恨まれ警戒され続け、蔑まれ続け、本当の国際関係など構築できないのですから。もっとも北朝鮮が望んでいるのは、本当の国際関係や信頼関係ではないのでしょうが。
 日本や国際社会が考えなければならないのは、こういう「弱者の脅迫」を行うスキを北朝鮮に与えないだけの毅然とした態度であることは言うまでもありません。
 外交の問題だけでなく、普通の身の回りの人間関係を構築する上で、最近、弱者の脅迫を利用する人が増えていませんか。弱者ぶって、強硬な要求をしてくる人には警戒心をもった方がいいです。はっきり言えば、まともに相手をしない方がいい。そして、塾生の皆さん方は、そういう卑怯な真似をしないと信じています。

*** 塾生からのメール ************
 Vol.79【弱者の脅迫】を拝読しました。
 先生が仰る通り、弱者の脅迫ほどやっかいなものは無いと思います。
 日本は軍事的圧力を使い得ませんし、アメリカをはじめ、韓国、中国などと協調して対応するしかないのでしょうが・・・それにつけても悩ましいのは、これほど危険なテロ国家が隣国にああっても、未だに平和ムード一色の日本人の鈍さです。
 ニュースでの取り上げ方もどこか他人事ですし、コメンテーターは(日本が被弾したら)政府はどう責任を取るのか、と外野から批判するだけで「我がこと」として真剣に考える番組は数えるほどしかありません。
 メディアは視聴者の写し鏡ですから、この認識が国民のそれなのでしょうが、やり切れない思いです。マスコミも世論も自分たちの代表たる政府の批判ばかりして、テロ行為や領海侵犯を繰り返す隣国には受身です。
 経済的交流の深い中国も日本を射程距離に収めたミサイルを配備しています。一体どうすれば、いつになれば我々は危機感に目覚めるのかと考えあぐねるばかりです。
 
 先生は文中で『普段の身の回りの人間関係に弱者の脅迫を持ち込む人が増えている』と仰っいました。私はこの"弱者ぶる"人たち、それを許容する世間こそが、プライドを失い、他人まかせの日本を作っている一因ではないかと思いました。
 
 日本が毅然とした態度で外交に望むには、まずは我々が本気で国防を考え、このようなテロ国家を許さないという態度を表明せねばなりません。
 私自身、大きなことが出来るわけではありませんが、決して弱者ぶることなく、勉強し、考え続け、友人、家族、同僚と語り合い、声を上げることで一歩ずつ変われればと思っております。そしてもちろん、台湾からの巨額の義援金のことも然り、です。

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