波乱万丈の講演旅行でした (2010年03月02日)

 

 2月27日土曜日は愛媛県東温市での講演です。愛媛県には縁があっていろいろなところに出かけていますが、東温市は初めて、県会議員大西わたるさんの後援会主催による講演会でした。主催された方々が実に熱心で、たくさんの人にお集まりいただき会場は超満員、とても盛り上がりました。

 会場は坊っちゃん劇場、関西地区で唯一の常設ミュージカル劇場だそうで、いまは「鶴姫伝説」を上演中です。ポスターに「瀬戸内のジャンヌ・ダルク 鶴姫伝説」とあり、かつてジャンヌ・ダルクと言われた時代があったわたくしの目を引きつけました。わたしは火あぶりはいや、長く生きて戦い続けたい、とSAPIO (サピオ、2010年 3/10号)に書きましたが、若くて美しい鶴姫とは比べようがないものの、ジャンヌ・ダルクを通して少しつながった気分、時間が許せば観劇したいところです。

 講演後はタクシーで福山へ、念願のしまなみ海道踏破です。残念ながら夜でしたが。ここでとんでもないことに出くわしました。もうすぐ本州という因島あたりでしょうか、車の直前をくらーい影がすーぅと押し寄せてきて、現れたのは4匹か5匹の大きなイノシシ、道路を横切っていきます。運転手さんの素早い対応で難を逃れたのですが、ぶつかれば車は大破して動けなくなる、急ブレーキで止まれば後ろから追突される、という危機でした。後続車の対応も良かったと運転手さんから聞きましたが、あの黒い影に後ろの車も気付いたのでしょうか。あぶなく大きな事故になるところでした。

 福山で一泊して翌28日朝から名古屋へ移動、福山駅でホームに入ってきた新幹線、何かやたらと古い、と思っていたらこれが500系のぞみのラストラン、たった1本の上りに偶然乗り合わせました。グリーン車はほぼ満席、一般車両が満席のために溢れた人がグリーン車へきている、このためいつものグリーン車の雰囲気とは全く違います。みなさん出たり入ったり、出たり入ったり、駅に着くたびにプラットフォームに降りて撮影する人がいる、それは大変です、鉄子でもないわたしにとっては落ち着かない車中となりました。翌3月1日の産経新聞に「撮り鉄1,500人集結する。厳戒ラストラン」とあります。イノシシに出会い、撮り鉄に出会った今回の経験、いいのか悪いのか判断し難いところですが、めったにない得難い体験だったことは確かです。

 福山駅ではホテルが用意したお弁当を持ち込みました。前日のホテル到着が夜10時半、翌日の福山駅発が朝8時31分というハードスケジュールでしたから、朝食は車中としたのです。このお弁当、サンドイッチにカフェオレ、オレンジとお願いしていたのですが、朝渡されたカフェオレは市販の紙パック、わたし思わず「ホテルともあろうものがこんなもの用意して、いらない」とカフェオレを返しました。オレンジをオレンジジュースと思い込んでいたり、皮を剥きやすいように入れておいてと前夜頼んだ切り込みは4筋しかなく剥きにくく、8筋は入れてほしかった、と何事も気に入りません。剥きにくいオレンジといまいちのサンドイッチでしたが、美味しいオレンジだったことと、ホテルが謝罪していると聞いたことで少し救われた気持ちです。

 到着した名古屋は自民党愛知県連の総会で、会場は溢れんばかりの人、こんなにたくさんの方に来ていただき、主催者側は大喜びでした。資金集めパーティのようで、まさに物心両方で支援していただいていると実感できる、熱のこもった集会です。わたくしの講演時間は40分弱、物足りない時間ですが、わたしの思いを何とかお伝えすることができました。その後の懇親会には谷垣総裁も駆けつけ、溢れんばかりの参加者にだいぶお喜びになったようで、実に熱のこもったお話をされています。盛会のうちに終了し、東京への新幹線に乗り込むと偶然にも谷垣総裁と同じ車両、東京駅に到着するとご丁寧にも総裁からご挨拶をいただきました。とてもいき届いた方です。

 東京駅からは家族のもとへ、この日は3週間遅れのわたしの誕生パーティ、大人5人に子ども5人の計10人の家族全員がそろいます。爆笑問題さんからいただいた高級ワインを開け、2台のコンロですき焼きでした。まぁー、5人の孫たちの騒がしいこと、特に3人の男の子、みんな同じ屋根の下に住んでいるとはいえこうして揃って食事するのは久しぶり、はしゃぎまくっています。ケーキも、ローソクもない、騒々しくも賑やかなお祝い、連れ合いの遺影が見守る中、残った家族10人、みんなで仲良く一晩を過ごす、これが家族、これが幸せ、としみじみとかみしめた夜でした。

 2月28日日曜日の日経新聞2面のコラムで、8日の予算委員会での菅直人副総理・財務相の発言が紹介されており、その中に「四国に橋を3本かけて車はほとんど通らなかった」とあります。「コンクリートから人へ」を強調したいあまりにかつての自民党の公共事業を批判しているのですが、わたしの実体験では、瀬戸大橋はいつも車が通っていたし、しまなみ海道では夜遅くでもひっきりなしに車が走っていたし、マリンライナーは通勤客とおぼしき人でいっぱいだったし、グリーン車がいっぱいだったこともあります。それに地元の方々の声を直接聞けば、生活を便利にしているいかに大切な橋か、観光資源としていかに役立っている橋かがよく分かるはずです。「ほとんど通らなかった」などとどこを見ておっしゃってるのでしょうか。現場を見ないで、調べもせず、自分の思い込みだけの、軽率な発言としか思えません。そんな政治家が民主党を代表する一人なのです。ただあきれるばかり、「公共事業は悪」とかねてから刷り込まれている人たちは真に受けとってしまいます。あまりにも無責任です。

 同日同新聞1面のコラムに「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の著者エズラ・ボーゲル氏の「民主党は素人政治だ。選挙前は大衆迎合的なことを言っても、現実は複雑だ」という発言が紹介されています。氏の同様の見解を紹介し、わたしはそれ以前から同じような主張をしている、と昨年11月1日のコラムに書いてから4カ月、やっと新聞紙上に掲載されているのを見ました。わたしの紹介はかなり早かった、ということのようです。

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