田中外相、いただけない演技 (2001年06月25日)

 

 先 日、某テレビ番組司会者が、「続きまして、次は本日の田中真紀子さんにまいります」とやったので、思わず吹き出してしまった。今や田中外相関連の報道は、 天気予報並みの定番になった観がある。彼女について私は最初からミスキャストだと言ってきた。圧倒的な真紀子人気の中でこれは少数派になるが、そんなこと はどうでもよろしい。

 一連の外交上の発言もさることながら、私を批判的にさせたことの一つに北京でのホテル事件がある。些細な事のようだが、そこに田中さんという人がよく表れている。

 あれは彼女が北京から帰るなり、訊かれもしないのに自分からしたり顔で持ち出した話だ。部屋が十幾つも付いていて、5人は寝られるベットだったとかで(本当?)、彼女は「なんじゃこりゃ!」と仰天したのだという。

 計算どおり彼女のこの演技は大向こうに受けた。週刊誌「アエラ」(6・25号)の聞き取り調査によれば、彼女を支持する理由に「日米安保体制から の自立」をあげる人はゼロで、多くの人が「ホテル代を安くした」と異口同音に言ったのだという。かつて戦時中、国民生活を案じた「東条サン」がお忍びで街 のゴミ箱を調べてまわったという「美談」が連想される。悪しきポピュリズムを狙った演技だ。

 この芝居の楽屋裏は見え見えである。田中さんは20代の頃からお父上と一緒に、実質的なファースト・レディーとして世界超一流ホテルの貴賓室を泊 まり歩いたはずだ。そのときは「なんじゃこりゃ!」とは思わなかったのか。今度の北京行にしても、むかし父と泊まったあのホテルにぜひと自分で選び、部屋 も予め写真で見て予約したという(朝日新聞・東京版5日付)。それなのに28万円余のホテル代に「信じられない」と大袈裟に驚いてみせるかまととぶりは、 まことにいただけない。
 
 自分で「普通の主婦」だと言い立てているが、二百億も相続したと云われる元首相の娘がそんな「ブリッ子」をするのは、ちと無理でしょう。

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