われら衆愚の選択 (2009年09月02日)

 

 なにから話したらよいのか、このホームページをご覧いただいている多くの方が同じ思いかもしれませんが、今回の選挙結果には言葉もありません。昨日、地下鉄丸ノ内線に乗ったら「われら衆愚の選択」という週刊新潮の中吊り広告が目にとまりました。すごい見出し、タイトルが非常にうまいと評価されている週刊新潮、さすがです。内容は分かりませんが、おそらく内容を超えた強力な見出しです、今回の選択がとてつもなく愚かなことだった、と。

 このメッセージに沿ったキャンペーンが選挙前にあれば、などとも思うのですが、活字の力が弱くなっている今日では、選挙結果にあまり違いはなかったかもしれません。なんといっても今の人たちは、活字より映像、映像よりインターネット、ということでしょうから。

 ここ数日、気力を失いかけていますが、それではやはりいけないので、わたしに何ができるのか、ということを考え直したいと思います。どうすればいいのか、といったメールもいただいています。来年の参議院選挙、4年後にまたくるであろう衆議院選挙では「決して愚かな選択をしない」という人を増やす、地味ではあっても、「衆愚の選択」を繰り返さないためにはそれ以外の選択肢はないような気がします。

 一方的な風が吹いたときに、どっと同じ方向に全部が流れてこの「衆愚の選択」です、簡単には風に吹き飛ばされない、そんなしっかりとした有権者、真っ当な選択ができる有権者を増やす、そのためにはどうしたらよいか、ということを落ち着いて考えてみたいと思います。民主主義はやはり頭数ですから。

 投票日の30日は北九州にいて、夜は、北九州青年会議所の人たちに誘われ、黒田節での会食となりました。また黒田節です。週末の美味しいものといえばここしかない、とのこと、目の前に並んだ美味しい海鮮料理も、開票結果が気になり少々上の空でした。ホテルに帰って、テレビにかじりつき、時間とともに本当に情けない気持ちとなり、寝付かれない夜となりました。唯一救われたのは、安倍晋三元首相が早々に当確と知らされたことで、それがないと立ちあがれないほどの落ち込みだったかもしれません。でも滅入ってばかりでは敵の思うつぼです、なんとか反撃しなくてはなりません。

 翌31日、台風をなんとか避けて東京に戻りました。この日は歯を抜く予定でしたが、予約をキャンセル、ただでさえがっくりきているのに、抜歯など到底耐えられません。暴風雨が絶好の口実でした。しかし逃げてばかりもできず、覚悟を決めて昨日出かけました。音楽大好きな主治医の診療室にはいつもクラッシックが流れています。約束の時間に到着すると、いつもの器楽ではなくマリア・カラスのアリア集、長い付き合いの主治医がわたしのオペラ狂を知っていて、抜歯への緊張を和らげようとしているのです。そのとき、夫・周英明が手術のとき、モーツアルトを聴きながら麻酔での眠りにつき、目が覚めたら手術は無事終わっていて、「とてもビューティフルだった」と感想をもらしたのを思い出しました。主治医とは留学生寮で同じ釜の飯を食べた仲、持つべきものは友です。いざとなったらスタンド・バイ・ユーと言ってくれる友ほど有り難い存在はありません。

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