台湾への表敬訪問 (2011年10月04日)

 

 東日本大震災の翌日から届き始めた台湾からの義援金に対する感謝メール、毎日、多い日は60通にもなりました。だいぶ落ち着いてはいるもののいまも届きます。「台湾」から「金美齢」を連想していただく方がたくさんおられるのは嬉しい思いです。そんなみなさんの感謝の気持ちを形にしてほしい、と考えて「ありがとう台湾オリジナルTシャツ」を作ることにしました。これを着て台湾を訪問していただければ日台交流は個人と個人のレベルで更に深まります。初めての製造販売体験、デザインして、製造していただき、販売する、未経験の分野での戸惑いはあったものの、喜びともなりました。たくさんの方にお買い上げいただいたのです。Tシャツを着ての台湾旅行の報告メールも届いています。

 このTシャツを着て台湾に行こう、街を歩こう、と考えて実際に購入された方々と一緒に台湾を表敬訪問し、美味しい食事をご馳走したい、という次なる思いから今回の「李登輝元総統への表敬訪問と金美齢との夕食会」を企画しました。思いを実現することの大変さをここでも味わっていますが、終わってみると「やって本当によかった」との思いが残っています。

 予想以上に多くの方々にご参加いただきました。台北集合、台北解散、しかも平日、ということで多くて40人、バス1台あれば十分、とみていたのですが、最終的には67人、お申込みいただいた方全員、一人も欠けることなく現地集合していただきました。北は北海道から南は九州まで、さらにこのためだけにフランスから、みなさん集まったのです。気仙沼からの参加もあり、お申込みには「私は被災地に在住しており、台湾への感謝を募らせながら生活しております」とありました。

 初日の「李登輝元総統への表敬訪問」は総勢53名、バス2台に分乗して、まず台湾で70万部以上の部数を誇る新聞社・自由時報を表敬訪問、呉阿明会長にお出迎えいただきました。ここでの様子は翌日の自由時報に写真入りで掲載されています。次に李登輝元総統にお会いする淡水の会場へ、バスで40分ほどのところです。入院中とのことで、お会いできるのか直前まで心配でしたが、李登輝さんのお元気なお姿を見たとたんにそれまでの労が吹き飛びました。「台湾と日本の100年の歴史と今後の関係」というタイトルで1時間きっかりお話しをいただき、その後の質疑応答、記念撮影、みんなに囲まれての握手攻め、李登輝さんも上機嫌のご様子で、やがて時間となりお帰りになる後姿を全員でお見送りしました。参加した、特に若い方は、偉大なる指導者、李登輝さんのお話を直に伺い、多くのことを感じ取ったことでしょう。事前に講演メモをご用意されるまじめさ、衰えることのない強く熱い志、公への奉仕の気持、全てが感動的だったと確信しています。

 帰りのバスの中で一人ひとりの喜びの感想を聞きながら、李登輝事務所からの回答が遅くてやきもきしたこと、了解いただいてみんなに案内を出した後に入院されがっかりしたこと、入院中だが「金さんには会う」と聞いて喜んだこと、でも「みんなに会う」とはおっしゃっていないので心配になったこと、手配したバス1台では足りずにあわててもう1台手配したこと、などなど、多忙を極める中で何でここまでやるのとふと自問しながらも進めてきたこの企画でしたが、そのすべてが報われた気持ちになりました。

 翌日が「金美齢との夕食会」、参加者の出入りがあって総勢60名、長春路の鶏家荘3階を貸し切っての大晩餐会となりました。もちろん全員わたくしからのご招待です。前日に蔡焜燦さん、司馬遼太郎氏『台湾紀行』の老台北、に連絡すると出席されるという。ビッグゲストの突然の出現にみなさん大喜び、お話をしたり、一緒に写真を撮ったり、サインをいただいたり、全員へのスピーチまでしていただき、料理の美味しさと相まってやや興奮気味に会食が進みました。そういえば、初日、表敬訪問のためにホテルのロビーに集合した50名以上、全員が「ありがとう台湾オリジナルTシャツ」を着ていて見事な景観なのですが、そこに台湾独立建国聯盟主席の黄昭堂さんがお見送りにと現れた時もみなさんの心弾む姿がありました。夕食会後は、この地で初めて出会った、同じ志を持った人たちが適当なグループとなって、夜市などに繰り出しています。

111004.jpg 李登輝さんの満面の笑顔の先には・・・・

 振り返ってみると、全てがうまく運んだ、と言えるでしょう。喜ぶみなさん、上機嫌のご様子だった李登輝さん、突然の連絡にもかかわらず即座に「行く」と言っていただき、台湾一美味しいパイナップル・ケーキを全員に1箱づつお土産に持ってきてくださった蔡焜燦さん、表敬訪問を後押ししてくれた黄昭堂さん、全ての人がハッピーな時間を過ごしたのではないでしょうか。わたくしの周りにいる人たちをハッピーにしたい、そんな願いがまた一つ叶いました。最後に、ここに掲載した李登輝さんの満面の笑顔、この視線の先にいるのはわたくし、金美齢です。李登輝さん、入院中で10月いっぱいの全てのアポをキャンセルされているにもかかわらず今回の表敬訪問をお受けいただき、さらにはこのような笑顔をくださり本当にありがとうございました。

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