ありがとう台湾Tシャツと野百合 (2011年06月30日)

 

「ありがとう台湾オリジナルTシャツ」がついに出来上がりました。背中に「I LOVE TAIWAN」の文字に野百合が散ったデザイン。左右そでのところには日の丸と地球の上に台湾の島影が浮かんだマークを入れました。左胸に小さく「多謝」「ありがとう」の文字。柔らかい字体にしました。色は私が一番好きな濃いオリーブグリーンと白の二色にしました。あくまでメードインジャパンにこだわりました。最近のTシャツは中国製のものばかりで、日本製を探すのも一苦労です。ですから、価格もちょっとお高めで、白は3000円、グリーンは染料代が余分にかかるので3500円となりました。インターネットのサイトから申し込みができます。

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 今までいろんなことにチャレンジしてきましたが、ファッションのデザインは初めての経験です。私はテレビに出る時の衣装も、スタイリストなしで、全部自分で選んでいます。ファッションセンスには自信があるのですが、いかがでしょうか。

 このTシャツプロジェクトは、台湾の人々が東日本大震災の被災地へ多額の義援金を送ってくださり、それに日本人として感謝の気持ちを示すにはどうすればいいか、という問い合わせを大勢の日本の方から受けたことから思いつきました。「ありがとう台湾」と書いたTシャツを着てみんなで台湾にいったらどうか、と。実際に手書きで「ありがとう台湾」と書いたTシャツを着て台湾に旅行に行った塾生もいました。

 台湾の新聞に感謝広告を出すという「謝謝台湾」計画が日本の民間の力で企画され、瞬く間に6000人以上の人から1900万円以上の寄付が集まりました。これはこれで素晴らしいスピードで達成されましたが、少し残念だったのは、新聞広告のデザインが日本の象徴として桜の花、台湾の象徴として梅の花があしらわれていて、感謝の言葉も不自然な中国語であったことでした。

 日本の象徴が桜の花というのは日本人の共通認識でしょうが、台湾の象徴が梅の花というのは共通認識は台湾人にはありません。梅の花というのは、蒋介石が中華民国の花と決めたものであり、国民党の花なのです。その後、中華民国が台湾にやってきて、台湾に居座ったために、中華民国の花が台湾の花と誤解されることが増えたのですが、台湾は台湾であり、中華民国ではありません。このTシャツは中華民国ではなくて、台湾を愛している人、台湾に感謝している人に着てほしい。そういう気持ちでデザインしました。

 ではなぜ、野百合なのか。

 台湾の野百合は、別名高砂ゆり、台湾ゆりと呼ばれる、台湾原産の花だからです。今は日本にも観賞用で輸入されていますが、台湾オリジナルの花なのです。見た目は鉄砲ゆりに非常によく似ています。鉄砲ゆりよりは葉がほそく、球根ではなく種が散って増えます。結構繁殖力が旺盛なのです。

 この野百合は台湾の民主化と自由の象徴でもありました。1990年3月16日から22日まで、各地から約6000人の学生たちが集まり、台北の中正記念堂前で座り込みの抗議活動を行いました。広場には巨大な野百合のトーテムが掲げられ、これを「野百合学生運動」と呼びました。彼らは「国民大会解散」、「臨時条款廃止」、「国是会議開催」、「政治経済改革のタイムテーブル提出」を訴えました。当時総統であった李登輝は学生側に共感し、間もなく国是会議を開催。1991年には臨時条款を解除、その後「万年国会」の改革に着手しました。これは戦後の台湾でおきた最大規模の学生運動であり、台湾の民主化の重要な転換点となりました。ちなみに2008年11月から1カ月余り続いた「野草苺学生運動」はこの野百合学生運動にならったものです。これは所詮二番煎じであり、大きなムーブメントになりませんでした。

 野に咲く可憐で生命力旺盛な百合こそ、今の台湾の自由と民主を勝ち取った花であり、梅よりよほど台湾を象徴する花だと思います。私が好きな郷土画家、何文紀氏の水彩画で野百合の絵があり、Tシャツのデザインはその絵をもとにしました。

 日本の国旗・日の丸に対応する形で右袖にあしらったのは、台湾の島影と地球を組み合わせた台湾安保協会のデザインです。台湾には国旗がありません。青天白日旗は国民党のマークをあしらった中華民国の旗ではありますが、党のマークの入った旗を国旗にはできないでしょう。台湾の花は梅で、台湾の国旗は青天白日旗だと思いこんでいる日本人も多いようなので、これを機に、台湾の背景を理解していただければ幸いです。

 以前にも話しましたが、この「ありがとう台湾オリジナルTシャツ」を着て、都合のつく人たちと9月下旬に台湾に旅行に行き、台南市と高雄市に表敬訪問しようと計画中です。後にホームページで詳しくお知らせしますので、みなさまもぜひご参ください。

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