台湾からの支援 (2011年03月23日)

 

 あらためての報告になりますが、地震発生時、わたくしは大阪・読売テレビ「たかじんのそこまで言って委員会」の収録中で、東京の揺れには遭いませんでした。当日は交通機関が止まり帰ることができず、翌日戻ってみると、大きく揺れたと思われる2つの食器棚の食器が全滅、床の上に散乱し足の踏み場もありません。いままで集めてきた食器の5分の3から4を失いました。その光景に唖然としましたが、まあ被災地の方々に比べたらこれぐらいのことで驚くことはない、と突っ張りのわたくは自分自身に言い聞かせたのです。スタッフにも手伝ってもらって、とりあえず身動きができる程度には片付け、ライフラインは確保したのですが、さすがにかなりのショックだったのか、いまでも頭が少々ふらつきます。

 戻った翌日はまた大阪、羽田・関空往復の日帰りで、その後東京、名古屋と講演が続きました。この事態に講演中止どころか、「こんなときだからこそやりましょう」(東京の主催者)となっています。そこで19日の「美齢塾 in 名古屋」も予定通り開催し、我々に何が出来るのか、を全員で考え、行動に移すこととなりました。

 震災から今日まで、わたくしのホームページ経由でたくさんのメールをいただきました。最も多かったのが、台湾からの援助へのお礼のメールです。「台湾の方々に感謝の気持ちを伝えたいけどどうすればいいのかもわからずこちらに書き込みをさせて頂いた次第です」、「義援金約三億円、日本と台湾との物価の差など考えると途方もない額の義援金」とあります。台湾からの義援金は、3億円からあっという間に20億円となり、いまは40億円を超えているようです。こういった日本の方々の感謝の気持ち、台湾に出かけて直接伝えてきたいと思っています。

 そんなお礼のメールに混じって、「この際だから尖閣に攻め込もう」とか「日本を助ける必要ない」という台湾の政治家の発言を取り上げたメールがありました。2通という、全体からすると僅かなのですが、ここで取り上げておきたいと思います。そのうちの1通には「貴女は何時もテレビ等で台湾の人達は日本人に対して友好的だ発言していますが、それは表面的な事で趙主任(発言の政治家)の様な言動が台湾人の本心ですか?」とあります。失礼ながら、愚かな質問です。

 世の中にはたくさんの人がいて、価値観も異なり、いろいろなことを言います。問題は大多数の人がどうなのか、ということです。大きく分けると、台湾には2種類の人がいます。戦後中国からやってきた人たち、中国人、そこには日本を敵視した中華思想の持ち主もいます、それと戦前から台湾に住んでいる人たち、台湾人、そのほとんどが親日です。そして台湾全体では親日が大多数なのです。それは今回の義援金の多さをみていただいても分かることではないでしょうか。台湾には2種類の人間がいる、中国人と台湾人、それはまったく違う人間で、まったく異なるアイデンティティを持っている、そのことをぜひ理解していただきたいのです。日本にも北朝鮮の代弁者がいます、だからといって日本人全体が北朝鮮を愛していることにはなりません。

 ここで、「台湾からの援助隊受け入れの遅れ」についても触れておきます。「余りにも悲しい政府の対応」といったメールをいただきましたが、いまの民主党政府にこれ以上のことを期待するのは無理ですし、実際に援助隊を受け入れて被災地に届けることも実は大変な手間なのです。救援したいという電話をわたくしもいただきました。台湾大地震のときに日本人の好意を届けた台湾のボランティア団体からで、あのときの日本人の援助、気持ちを忘れてはいません、私たちでできることがあったら駆けつけます、とおっしゃっていただいたのですが、わたくしの力ではあの人たちの面倒をみたり、どうにかしたりすることは今は無理、しばらく様子をみててほしい、と申し上げました。これが実情です。大きな災害を受けた地方に人を届ける、それは至難の業、そういう想像力も持って、ぜひ冷静になって、自分が何が出来るのかをまず考えて欲しいと思います。

 今回の震災に関して、いろいろなところでわたくしの思いを述べています。月刊「正論」5月号では曽野綾子さんとの対談で、月刊「WiLL」にも寄稿、今発売中の週刊ポスト、今週発売の週刊文春などでも発言しています。皆様ぜひお読みください。

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