収穫豊かな一週間 (2009年05月29日)

 

 アメリカで中華料理を食べると、最後にフォーチュン・クッキーというのがついてきます。中におみくじのようなものが入っているクッキーで、美味しいわけでもなんでもないのですが、ニューヨークから何気なく持ち帰りました。それを開けてみると、書いてあるのが「You have a natural grace and great consideration for others.」、すごい、まったくぴったり、フォーチュン・クッキーもなかなかばかにできないな、などとひとり喜び、すっかりいい気分です。

 この"grace"っていうのがいい。ずいぶん昔、青山学院の教授がセクハラで訴えられたとき、女子学生に向かって"graceful"っていう言葉を使った、「君はとっても"graceful"だ!」って、これがセクハラだってことになって、まぁ口説き文句で、これは教授にも少しお気の毒でしたが。それで有名になった"grace"、しかも"natural grace"、生まれつきと、かっこいいじゃないですか。

 悪いことが書いてあるときは無視して、こういういいことが書いてあるときは、その通りだ、その通りだ、と思うようにしています。こういう性分なので、2チャンネルで「金美齢死ね」と書かれても気にしないのですが、「金美齢は絶世の美女」と書かれると、口では「まぁなんでしょう、七十いくつかのおばあちゃんをつかまえてよくこんなこと言うわね」などといいながらも、素晴らしい、やっぱり、などと秘かに思ってしまいます。

 こんな能天気に、前向きに、自分がハッピーになるよう努めているからこそハッピーになれるのです。すべてを悪い方へ悪い方へと考え、かつそれを人のせいにして、中央大学の教授を殺害した卒業生はその極端な例でしょう。わたしのように、いいことには「素晴らしい」と喜び、悪口には「無責任な」とめげない、そうすればけっこう日々楽しく暮らせます。講演でこういう話をするとみなさん喜んでくださり、元気になると言っていただきます。まあ、陰々滅々の話を聴いても嬉しくはないでしょうから、前向きな、明るくなるような話をするのですが、後期高齢者の白髪の年寄りだからこそ、いままでのわたしの生き方があればこそ、みなさんに共感していただけるのだろうと考えています。ハッピーになるためのわたしの秘訣です。

 この一週間、21日木曜の福山、24日日曜の福岡、26日火曜の豊橋、と講演が3つ、それにTV収録が2本,、6時間におよぶ鼎談が1本ありました。そして、そこにはたくさんの出会いがあり、忙しいながらも実り豊かな一週間でした。

 木曜日の福山では、昔むかしご近所で美容院をされていた方がわざわざ訪ねてくださいました。子どもたちが小学生のころのことで、現在は福山に戻って美容院をしていらっしゃいます。顔をみたらすぐわかり、とても懐かしい思いでした。また、ベトナムでお会いしたご夫婦が、そのとき一緒に撮った写真とお土産を持っておいでになりました。福山の方って情がありますね、いろいろな方からお土産をいただき、そのなかに老舗の和菓子屋さんで、藩主に献上したという和菓子があって、翌日の読売テレビ「たかじんのそこまで言って委員会」収録の際にスタッフのみなさんといただきました。

 収録前に、8月の大阪での講演に向けたインタビューを控室で受けたのですが、そのインタビュー・スタッフのなかに福山に駐在していたという方がいて、お菓子をみて「あっ、これ知ってる」と言われ、さっそくお分けしました。いろいろいただきものがあり、それをみなさんと分け、ときにはとても喜んでいただける、「これ知ってる」といった偶然の出会いというか、世の中狭いというか、そんなこともあり、人と人のつながりがこうしてできていくのは嬉しいことです。多くの出先で、新しい、嬉しい、懐かしい出会いがあります。

 日曜日は八女青年会議所創立50周年記念講演会での講演でした。終わってから聴衆席の中央を通って退場したのですが、みなさん寄ってきて、握手してください、元気になります、なかには、新茶ですからどうぞ飲んでください、と有名な八女の新茶を差し出す方もおられて、こんなありがたいことはなかなかありません。八女はちょうど新茶のシーズンで、講演後も新茶をたくさんいただきました。

 腰の曲がったおばあちゃん、まぁわたしもおばあちゃんですが、わたしよりも年配の方が、台湾生まれです、といって茶まんじゅうというのを持って訪ねてこられたり、北九州や宗像の青年会議所の方もわざわざ来てくださいました。みなさんとても熱心で、嬉しい出会い、再会でした。北九州の方からは前回トマトをいただきましたが、今回はフグ茶漬けをいただきました。地元の美味しいものをプロモーションしていて、プロモーション中のものをいただくのですが、あの美味しいトマトがなかったのは少し残念です。

 火曜日の豊橋商工会議所女性部会創立20周年記念事業での講演でも、八女同様に会場はいっぱいで、大変な盛り上がりとなりました。20周年のお祝いに愛知県各地からたくさんの方がかけつけ、台湾に一緒に旅行したことのあるご婦人たちもおられ、昼の懇親会も楽しいものでした。ただひとつ残念だったのは、せっかくのフレンチのフルコースでしたのに、みなさんとの写真撮影に忙しく、ほとんど食べれなかったことです。美味しそうなフレンチを目の前にして、新幹線の時間となってしまい途中で退席となりました。

 豊橋駅まで送っていただいた方から、駅で一番評判がよい助六という海苔巻と稲荷寿司のお弁当をいただきました。新幹線のなかでのお昼となりましたが、ちょっと懐かしお弁当、かつて家の近くに田中屋さんというお弁当屋さんがあって、娘が運動会や遠足のときに買いにいったお弁当がこういったお弁当でした。とても美味しく、フレンチのフルコースもさることながら、こういったシンプルなお弁当もおつなものです。お昼に半分いただき、夜に残りをいただき、丸1日を豊橋商工会議所のみなさまに養っていただきました。大勢の方にお越しいただき、熱心に話を聴いていただき、とても嬉しい1日となりました。

 このように、収穫豊かな一週間でした。精神的にも、人とのつながりでも、食べるものも、お土産も、といろいろな意味で。

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