百点満点の欧州旅行 (2014年10月23日) |
<今回のコラムは「月刊北國アクタス」(北國新聞社)11月号に掲載したものです。10月20日に発売されていますので、どうかお買い上げください。このようなコラムを毎月号に掲載しています。>
実に素晴らしい旅だった。百点満点と言えるのは、数多いヨーロッパ行、唯一の経験。齢80にして、こんな日々を迎えることになるとは夢にも思っていなかった。
9月の1カ月間、忙しいと言うべきか、充実したと言うべきか、イベントが目白押しだった。
9月4日のグッド・エイジャー賞受賞に始まり、27、28日の両日は、大阪・東京で台北市長選候補者・柯文哲の歓迎パーティーの代表発起人として、連日てんてこ舞い。盛大な集まりでなくては意味がないので、事務局に発破 をかけるため、事前に大枚2万円のパーティー券を100枚ずつ引き受け、200枚、計400万円の支出を覚悟した。結果は大成功だった。
天下国家のために些か貢献した満足感はあるが、投開票日は11月29日、勝利の旨酒は、その日を待たなくてはならない。
個人的な楽しみも、この忙しいなか前後11日かけてのヨーロッパ行。9月15日、JAL407でフランクフルトに入った。フランクフルトで1泊、翌日フランクフルトからベネチアへ飛んだ。
フランクフルトでは、ケネディ米元大統領が来た時に通った道がケネディ通りとなり、そこに建てたホテル「ビラ・ケネディ」に泊まった。川を渡ると旧市街に入る。
翌日ベネチアに飛ぶ。フランクフルトからベネチアというと、小さな飛行機になるが、これはビジネスクラス。ホテルからの出迎えで空港から港へ、港からはボート、ベネチア独特の交通手段であるボートタクシー、着いたホテルが「ルナ・ホテル・バリオーニ」。ホテルに小さな船着き場があって、反対側に通りに面した入り口もあるが、この船着き場がなかなか洒落ている。楽しい、いかにもベネチアに着きました、という感じの入り口。ここで合流する旧美齢塾塾生たちが待っていてくれた。
ベネチアには何回も訪れているが、亡夫と一緒に一度。それ以外は全て一人旅だった。この度は合流する人たちがホテルの船着き場で出迎えてくれたので、到着の喜びを味わうことができた。
なかなかいいホテルだった。ベネチアで一番有名なのは「ダニエリ」。非常に歴史と伝統のあるホテルだが、部屋そのものは古びていて、1回泊まったがあまり感心しなかった。ただ、6階のテラスに張り出したレストランがなかなか素敵で、運河を見ながら朝食を楽しめる。バリオーニの朝食もとても良かった。天井の高い大きなホールをビュッフェに使っていて、サービスも良く、総勢6人、みんなでゆっくり朝食を楽しんで、お昼はほとんど抜き、というくらいに満足した。
バリオーニに泊まったのは4人、ホテル「バウアー」が1人だった。小さなホテルに泊まったのが1人いて、そこは朝食がないので、2人分頼んでいた私の部屋の1人分を毎朝楽しみに食べに来ていた。
一度是非行きたかったベネチアのオペラ劇場「フェニーチェ」がヴェルディの作品をやるということで、「イル・トロヴァトーレ」2回、「椿姫」1回のチケットを手に入れた。
フェニーチェは2度火災に見舞われている。フェニーチェは不死鳥という意味だが、その名のように復活したこのオペラ劇場には、なにがなんでも行ってみたかった。演目もとっても良かったし、大オペラ座と違う、少々小ぶりで丁度いいサイズ、遠方からオペラを見に来たのは大成功、大満足だった。
ベネチアに5泊、15日チェックイン、21日にチェックアウト、ここからウイーンに行く便は少なく、しかたがないので朝早い便。また空港までの送迎をホテルに頼んで、エコノミークラスしかない小さな飛行機でウイーンへ。
ウイーンでは一番伝統のある「ザッハ」に泊まった。ここは2回目、オペラ座の真裏にあって、オペラ座まで歩いて数分、正装してオペラ座の横を通って出かけていく、そんなホテル。先回もここに泊まったが、本当に素晴らしいホテルだ。
ウイーンでは、ベネチアから同行した事務所のスタッフAさんがグランドホテル。朝食が付いておらず、私は1人泊でもいつも2人泊で頼むので、朝食を一緒にした。
朝8時半から9時までの間に食事をスタートするということにして、降りて行ってしばらくするとAさんが現れる。豊かな美味しい朝食を二人で満喫。昼食は抜く。オペラ座「スタッツオパー」では「ドン・カルロ」と「愛の妙薬」を観ることにしていた。
「ドン・カルロ」は21日。それでベネチアからの移動はどうしても当日の朝早い便となった。スタッツオパーはフェニーチェと違って大劇場。規模、演目、シーズンの長さ、共にヨーロッパ一だろう。
帰りが24日なので、おまけという感じで23日に「愛の妙薬」を観た。おまけと思っていたがこれが良かった。若いテノールがすばらしい。初めてアンコールを聴いた。「人知れぬ涙」という有名なアリアだが、今まで観たオペラではどれだけ拍手してもアリアのアンコールはなかった。こんな幸せな思いを出発の前夜に体験するなんて。
翌日ウイーンからフランクフルトに飛び、そこから羽田へのルフトハンザ便。ビジネスクラスを早々に確保していたが、何と最後のギリギリにファーストクラスが取れ、しかも燃料があまりにもかかるのでもう引退しなければならないような2階建てジャンボ機。2階はファーストクラス専用で、ほんの数人で占領するという、フライトだった。
いやー、これだけ飛行機に乗っていて、ルフトハンザも、ミュンヘンを2往復もしていて今回3回目だが、この大きな飛行機に初めて乗ることができた。
最高だった。何が最高かというと、座席の横にベッドがある、だから寝ようが、座って映画を見ようがかまわない、いつでもOKという感じなのだ。おかげで時差調整のためにひたすら寝ることができた。唯一の心残りは、ルフトハンザのファーストクラスのディナーを食べ損ねたことだ。
次の旅で取り戻さなくては!