志ある政治家 (2014年07月03日)

 

 24日は午後1時から1時間ほど、衆議院第2議員会館の100人以上入る会場で、台湾についての話をしました。国会議員が半分、代理が半分だったようです。

 会長としてご挨拶された平沼赳夫さん、平沼さんは立派な政治家、と「たかじんのそこまで言って委員会」で金さんが発言してた、とのメールが全国から寄せられたとのことで、お礼を言われました。自民党時代から、ときどき小さな講演会で一緒になったりしています。対談をしたこともあります。かなり前ですが、早稲田の大隅講堂でサークルの学生が計画した講演会がありました。残念ながらあまり人が集まらなかったのですが、講演後に平沼さんとお話をしました。平沼さんの曽祖父様が早稲田の学長だったそうです。ですから早稲田との縁はとても深い方なのですが、平沼さんは慶応、どうして早稲田に入らなかったのですが、と訊いたら、裏口入学だと勘ぐられるから、と半分冗談でおっしゃっておられました。慶応であればちゃんと受験して入学したのがはっきりする、つまり、李下に冠を正さず、といったことをちゃんと考えてきっちり行動していらっしゃる政治家なのです。志のある人、大望を抱く人は、小さなことでもいろいろと勘ぐられないように考えていくことが大切でしょう。サルコジ前大統領が拘束された、とのニュースが一昨日から流れています。韓国では大統領を降りた後にこの種のことが起きたりしていますが、フランスお前もか、といった感じです。

 29日、来日した林佳龍、今年11月29日の統一地方選挙での台中市長選の民進党候補者ですが、の講演会がありました。52歳という若さです。この人は野百合運動のときのリーダーでした。それ以来ずっと政治を心がけ、台湾の知識人として台湾のために何ができるか、をずーっと考え、行動してきたのです。10年前に落選して以来、台中に根を下ろし、地方の経営というか、どうしたら地元の人たちの役に立つのか、を思い、働いてきた、というお話をなさっていました。

 野百合運動の後にアメリカのイェール大学に留学し、ドクターを取得しています。そのアメリカ時代、たまたま会っているのです。わたくしがニューヨークに行ったとき、ニューヨーク州北部在住の友人夫婦の大きな家で、将来の台湾のリーダーになるであろうアメリカ留学中の若者たちを集めての合宿がありました。誘われてそこに出かけたのですが、そのときに会った一人が林佳龍、中には台湾帰国後TVで活躍することとなる女性などもおり、みんなで台湾の将来について論じておりました。

 今回話を聴いて、彼が間違いなく立派に育ったことを実感しました。頭の良さは半端ではありません。それに努力、台湾への情熱、献身と何拍子もそろっています。乾杯の音頭をとったときに申し上げたのですが、日本の政治家もたくさん知っているが、彼ぐらいの政治家はそんなにはいない、艱難辛苦のなかで育ってきた台湾の見事な政治家というのは、日本のふわふわした環境の中で、集団的自衛権ですら反対するような、そんな甘ったるい政治家とは全く違います。

 最初にお話しした国会での勉強会でも、国会議員が4,50人おりましたが、それなりの人がいたことはいたものの、多くは、物事の大切なものが分かってない。台湾で行われていることをしっかり聴いて、それが日本にとってどういうことなのか、といったことを勉強しようなどと真剣に考えている人はあまりいなかった。まあ、お忙しいのかもしれませんが。何か基本的な姿勢が違います。

 世論調査では、彼が相手候補者をかなりリードしています。国民党は慌てて、何とか彼のあら捜しをしようと、馬英九の右腕である金溥聡という駐米代表(大使に相当)を呼び戻したそうです。林佳龍は陳水扁時代に政府の仕事をした経緯があるので、何か違反はなかったか、何かスキャンダルはないか、といったことを隅から隅まで調査しているとのこと。そんなことをされると大変です。本人も言ってました。ですから、志のある人間、大志を抱く人間はストイックに、ストイックに、あら捜しされても何の傷も出ないような、そういう生き方が必要なんです。まあ、以前から言っていることですが。

 この若者が台中市長に当選し、9月に訪日する台北市長選の候補者も当選すれば、総統選挙でも勝ってもう一度政権交代、も夢ではありません。

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